フォーラムについて

日本の産業は激しく衰退し、賃金は低下し、国債市場も株式市場も麻痺しています。そこに世界的な新型コロナウィルスのパンデミック(大流行)が襲い、アメリカ、日本などの政府が対応に失敗して、1930年世界大恐慌以来の経済不況を招いています。にもかかわらず、政治の無責任が極まり、行政も腐食してしまいました。

かつての世界大恐慌はファシズムの台頭と第二次世界大戦につながりました。いま世界史の岐路というべきこの時代に、私たちは何を発言し、いかに行動するのか。口を閉ざし内に籠るのか、それとも後代の検証にも耐えうる言動をするのか、自らに問わなければなりません。

ひたすらマネーを垂れ流す金融政策の下で、日本の産業は激しく衰退してしまいました。クラウド・コンピューティング、5G、半導体、ディスプレイ(液晶、有機EL)、デジタル通信機器、再生可能エネルギー、バイオ医薬、リチウム電池など、かつて日本が誇った製品の国際競争力は大きく落ち込んでいます。ストックオプションを与えられた経営者たちは、自社の株価のみに関心を集中させ、リスクを取って、未来を切り開く事業に投資することができません。

そんな日本で、次世代はどのように食べていけるというのでしょう。G7で賃金の継続的低下が生じているのは日本だけ、男女平等度にいたっては日本は世界最低レベルです。企業は目先の収益を上げ株価を上昇させるためにも、非正規雇用を拡大しています。富める者はさらに豊かになる一方で、低所得層が増大し、格差が拡大しています。

現在の政治は荒廃し行政は腐敗しています。情報隠蔽、公文書改ざんが当たり前になり、恣意的な人事によって官僚のあいだに忖度が充満しています。いっぽうメディアも独立性が損なわれ、フェイクニュースも飛び交います。

この事態をどう転換するのか、まさに「世直し」が求められていると思います。どういう未来社会を展望するのか、そのためにどのような具体的な政策を提起するのか。「世直し」が必要と考える私たち一人ひとりが、「右」とか「左」などという時代遅れのスタンスの違いを越えて、オープンに議論する場が必要です。

さしあたり以下の5項目を柱にして、「ヨナオシフォーラム2020」として発信していくこととしました。一人でも多くの皆さまの自由な参加と闊達な議論を願っています。

5つの柱

1. 感染症の徹底的な検査・追跡・隔離・治療の体制を確立することが、経済を再生する

  • 大多数の非感染者が当たり前に経済活動できれば、危機的な不況は避けられる。感染集積地やその可能性の高い地域を網羅的に検査する体制、医療関係者などエッセンシャルワーカーを全員検査する体制、そして「いつでも、誰でも、どこでも」検査を受けられる体制を確立するなど、徹底的な新型コロナウィルス対策こそが最善の経済対策である。政府や東京都の「対策」は失敗しており、感染蔓延と経済停滞から抜け出られない。

第1回 集会(7/30)での児玉龍彦氏の講演を受け、より正確な表現に修正

2. 分散ニューディールを軸とする「緑の復興」

  • 新型コロナウイルスに限らず、未知のウイルスと人類の遭遇による大規模感染症は、今後の日常的リスクである。地域の営みの利益を超過密大都市が吸い上げてしまうようなモデルから、分散型に転換することが必須である。世界のエネルギー革命は大型発電所から再生可能エネルギーによる地域分散型を求めており、情報通信技術もクラウドのように情報の分散管理に向かっている。
  • まずはエネルギー転換を突破口に、福祉や農業を含めた地域分散型社会を作り、イノベーションと雇用を創出する。そのカギとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進する。

3. 緊急支援・緊急雇用と、公正で未来志向の税財政の再建を目指す

  • 新型コロナウイルスの影響は格差社会を苛烈に襲い、非正規雇用の雇止めや中小零細企業の倒産などにより、許容範囲をはるかに超えた貧困が広がっている。緊急支援・緊急雇用をワン・ストップで迅速に実施する。
  • 日本の教育への公的支出はOECD諸国で最低であり、大学・研究機関は予算削減により荒廃している、教育予算を大胆に拡充し、基礎研究などの予算を確保して知識集約的な経済・社会のニーズに対応する。
  • デジタル多国籍企業の逃税を許さず、個人の金融所得分離課税を改正するなど、企業から個人までの課税の公平・公正性を再検証・再構築し、少子高齢化を前提とする持続可能な税財政・年金制度に見直す。

4. 行政・司法・政治を再構築し、公正性・透明性・参加性ある民主主義を取り戻す

  • 行政では公文書が改ざん・廃棄され、司法では人質司法や独立性が懸念され、政治では公然と贈収賄が行われ説明責任も結果責任も欠いている。これらを抜本的に再構築し、公正性・透明性・参加性を保証する民主主義を取り戻すため、所要の法改正を早期に実施する。

5. 性差別をはじめあらゆる差別をなくし、多様性を尊重する包摂型の開かれた社会を目指す

  • 新型コロナウィルス等による大規模感染症は、差別・格差構造の底辺を直撃する。医療・介護・清掃・保育・流通などを担うエッセンシャル・ワーカーの多くが低賃金・不安定雇用のもとで異常な負荷に苦しむ構造を改革する。
  • 世界の性差別撤廃運動やアメリカの黒人差別反対運動が示すように、差別を根絶することが、危機に対して抵抗力のある(レジリエントな)社会を作る。

世話人

飯田哲也(環境エネルギー政策研究所(ISEP) 所長)/事務局担当

大沢真理(東京大学 名誉教授)

金子勝(立教大学大学院 特任教授、慶應義塾大学 名誉教授)/代表世話人

古賀茂明(古賀茂明政策ラボ 代表、フォーラム4)

佐々木寛(新潟国際情報大学 教授、市民連合@にいがた 共同代表)

サポート

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